Q42:『荻野式(オギノ式)避妊法』とはどういうものですか。 A42 :本来は懐妊法です。避妊法として考案されたものではありません。 【荻野学説】 1924年、産婦人科医・荻野久作博士によって提唱されました。 「排卵は周期日数に関係なく、次回生理の第1日から逆算 して14日プラスマイナス2日にある」 というものです。 それまで「生理→排卵」の順番と思われていた体のサイクルを、全く逆の発想から問い直し、月経のメカニズムを解明しました。 【避妊法にされてしまった理由】 荻野学説は、もともと 「妊娠したい人が、妊娠しやすい時期を知って懐妊に役立てるためにあるもの」 でした。 しかしこれが、 「逆の使い方をすれば、妊娠したくない人は妊娠せずにすむ」 と思われてしまい、それがまたたく間に “最も自然な避妊” “愛の避妊法” といったキャッチコピーとともに、“荻野式避妊法”として広がってしまいました。 「自分の生理周期から12〜16日程度引いた日が排卵であり、その周辺を避ければ妊娠しない」 というのです。 これはもちろん、荻野博士の意によるところではありませんでした。 なぜか現在も、“荻野式”は避妊法としての知名度のほうが遥かに高いようです。 【しかし現実には】 “荻野式避妊法”にのっとって計算をしてみても、避妊としての効果は不確実すぎて、期待できません。 理由は、 ●「いつもの周期」は狂って当たり前のものであるため、単なる引き算で正確な排卵時期はわからない (関連情報:Q30) ●精子や卵子はしばしば長生きするので、排卵時期を避けても受精に至ることがある (関連情報:Q4) などです。 事実、“荻野式避妊法”で避妊したつもりだったのに妊娠する女性は続出、全国の中絶外来に日々殺到したといいます。 荻野式を避妊に応用するならば、同時に ●基礎体温を継続的につけて、「その周期の排卵時期」を毎回リアルタイムに確認する (関連情報:Q6、Q14など) ●コンドームは欠かさない (関連情報:Q9) などの手段を講じる必要があることがわかります。 なお懐妊希望の場合も、単なる計算より、基礎体温を利用することで、より妊娠しやすい時期を知ることができます。 |
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