◆各種避妊法の失敗率と選択例

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≪避妊法≫
※各パーセンテージは、「その方法を1年間続けた場合の失敗率」です。(緊急避妊のみ、常用不可のため例外)
名称 原理と主な効果 理想的な使用での失敗率 一般的な使用での失敗率 備考
コンドーム
(男性用)
 男性器に袋(主にゴム製)をかぶせて、精子の膣内への侵入を阻止 3.0% 14.0%  正しく使用するのは意外と難しい。
 特に、「性交の途中から着ける」「重ねて使う」など、誤った使用方法がなされる場合が多い。
 (関連情報
ペッサリー  子宮の入り口にゴム製のキャップをし、精子の子宮への侵入を阻止 6.0% 20.0%  サイズを医師に確認してもらう必要がある。
 装着に慣れるまで練習が必要。
 妊娠・出産後はサイズが変わる。
 日本では殆ど使われていない。
殺精子剤  薬品を膣内に挿入し、精子を殺す 6.0% 26.0%  錠剤、ゼリーなどがある。
 いずれも効果持続時間に制限有。
 薬剤に触れなかった精子には効果が及ばない。
 単体使用でなく、他の避妊法との併用が好ましい。
ピル
(oral contraceptive;OC)
 ホルモン剤を服用することで排卵を抑制する。
 精子の卵管への到達阻止、万一受精が起きた際の着床阻害効果もある
0.1% 5.0%  飲み忘れなければ抜群の効果。
 安全性は高いが、服用初期に吐き気などを感じる場合もある。
 生理が安定し、軽くなる。
 日本では、入手に医師の処方が必要。
 体質などにより飲めない人もいる。
 (関連情報
IUD
intrauterine contraceptive device
(子宮内避妊器具)
 子宮内に器具を挿入して、受精卵の着床を防ぐ (銅付加IUDの場合)
0.1〜1.5%
(銅付加IUDの場合)
0.1〜2.0%
 母体保護法指定医に挿入してもらわなければならない。
 不正出血や経血量増加がみられることがある。
 出産経験がない場合は不向き。
緊急避妊
(emergency pill)
 性交後72時間以内に女性ホルモン剤(日本では主に中用量ピル)を服用することで、妊娠の成立を防ぐ
(排卵を遅らせる、着床を妨げる等)

(左記参照)
 正しく服用した場合、直前のセックスによる妊娠を98%の確率で回避する。
 身体に大きな負担がかかるため、常用してはならない。
 ホルモン量が多くなるため、強い副作用が出る恐れがある。
 (関連情報
 IUDを用いた緊急避妊法も存在する。


 …………、

 え?基礎体温法とかが無いじゃん。
 と、お思いのかた、ごめんなさい。
 作者個人的には、避妊具や避妊薬を用いない方法は避妊ではないと思っております。
 上に挙げました各種避妊法は、「精子を遮断する」「精子を殺す」「排卵を抑制する」「着床を防ぐ」などの効果を持ちます。
 しかし、基礎体温法などの方法は、その効果がありません。
 ですから、あくまでも補助的な方法と考えています。
 上記の「避妊法」を補助するために併用するもの――つまり、「避妊法」と併用することではじめて効果をあげるもの、ととらえています。
 上記の「避妊法」と区別するため、勝手に「避妊補助法」と分類して、以下に原理と備考を載せました。(この分類はあくまで当ページ作者の考え方によるもので、広く一般的なものではありません)

 唯一、膣外射精は「射精を外部で行なう」ということで、一見精子の遮断をしているような印象がありますが…精子は精液だけに含まれるものではありませんし、男性が気づかないうちに少量の射精をしてしまう(自覚のある本格的な射精は、それよりも後)こともあります。膣外射精法は、やはり単体では避妊法とは呼べません。
(膣外射精に対するこの考え方は、一般的なものです)



≪避妊補助法≫
名称 原理と主な効果 備考
基礎体温法  基礎体温グラフから性周期を把握し、妊娠しやすい時期を知る。
 排卵の有無・卵巣機能・黄体機能などの確認、正確な次回生理予定日の予測、妊娠の早期判断にも役立つ。
 生理と不正出血の区別などもできることがある
 毎日欠かさず測る必要がある。
 気温や体調、睡眠時間などの影響を受けて狂いやすい。
 グラフから読み取れないタイミングでの排卵なども起こることがある。
 (関連情報
膣外射精  射精前に膣内から男性器を抜き、外部で射精する  タイミングを逃し失敗しやすい。
 また、射精時以外にも精子は流出している。
 単体での避妊効果は期待できないと考えるべき。
 (関連情報
粘液法  おりものの状態の変化から性周期を把握し、妊娠しやすい時期を知る  非常に不確実。微妙な変化を確認しにくい。
 変化と体のリズムが必ずしも一致しないことがある。
 病気などでおりものの状態が変わってしまうことがある。
 (関連情報






≪組み合わせ方の例≫

■効果的な組み合わせ方(1)■
 ……「避妊法」と「避妊補助法」をそれぞれ1種類以上組み合わせる。
 各2種類以上併用すればさらに効果的。

 例:
 コンドーム+膣外射精
 コンドーム+殺精子剤+基礎体温法
 コンドーム+ピル+膣外射精
 コンドーム+基礎体温法+膣外射精
 コンドーム+IUD+基礎体温法+膣外射精  …など

 例外:
 男性用コンドーム+女性用コンドーム+各避妊補助法
 殺精子剤+各避妊補助法


 ●避妊法のうちひとつは、感染症予防などの意味合いからコンドームが望ましいと思います。
 ●男性用コンドームと女性用コンドームの併用は、重ねづけと同様破損しやすくなるので危険です。
 ●殺精子剤は避妊法の中では失敗率が際だって高いので、避妊のメインに使用するのは避けるのが無難です。

 ※避妊法にピルを使う場合は、基礎体温法は特に必要ありません。(基礎体温はホルモン状態によって値が変わるものだからです。ピルはホルモンをコントロールするので、通常の基礎体温とは違うグラフになってしまいます)
 逆にピルを用いない場合は、避妊補助法のうちひとつは基礎体温法がおすすめです。




■効果的な組み合わせ方(2)■
 ……「避妊法」のみ2種類以上組み合わせる。

 例:
 コンドーム+ピル
 コンドーム+殺精子剤
 コンドーム+IUD  …など

 例外:
 男性用コンドーム+女性用コンドーム


 ●避妊法のうちひとつは、やはりコンドームが望ましいでしょう。
 ●どうしても単体使用にしなければならないなら、(失敗率の低さから考えれば)ピルかIUDが最良ではと思います。無理であればせめてコンドーム、という具合でしょうか。殺精子剤の単体使用は危険です。
 ●例外については、(1)に同じです。



■危険な組み合わせ方■
 ……「避妊補助法」のみを組み合わせる。
 単体使用はもってのほか。

 例:
 基礎体温+膣外射精
 膣外射精+粘液法  …など


 ●もちろん、避妊補助法のみであっても、全く何もせず、何も考えずの「中出し」よりは多少ましとは思います。
 しかし、妊娠を望まないのであれば、やはり現実的な避妊法を選択するのが大人のマナーではないでしょうか。




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