Q10:避妊に失敗してしまいました。
 (or....)避妊せずにセックスしてしまいました。
 (or....)避妊はしたけれど、どうしても妊娠が心配で仕方ありません。
 (or....)レイプの被害にあってしまいました。


A10:72時間以内なら、事後緊急避妊法があります。強引に生理を起こして妊娠を回避します。大至急、最寄りの婦人科または産婦人科に問い合わせてください。

 【事後避妊法】

 ヤッペ(Yuzpe)という人が発見した方法で、ヤッペ法とも呼ばれるようです。あるいは避難的方法ということで、緊急避難避妊法とも言われます。
 このように、事後緊急避妊/緊急避妊/事後避妊/ヤッペ法/緊急避難避妊法/モーニングアフターピル…様々な呼称があります。

 日本では一般に、一定量の中用量ピル(「ドオルトン」「プラノバール」「ソフィア-A」など)を服用する方法が取られます。
 多くの場合、中用量ピル2錠×2回(合計4錠)の服用になります。(※1)
 副作用による嘔吐などの対策のため、これより多めに処方されることもあります。が、嘔吐などがなければ4錠をこえて服用する必要はありません。(※2)
 (※1)…緊急避妊専用のピルも存在します。商品名では「プリベン」が有名です。しかし、日本では認可されていません。使いたい場合は個人輸入になります。
 ただし個人輸入の場合は、輸入・服用に際しての責任が全て自分にあります。よほど知識がしっかりしていて、いざというときの対応もきちんとできる自信のある人でないと、危ないと思います。
 また、避妊失敗後に慌てて輸入しようとしてもリミットには間に合いません。失敗した時点で専用ピルが手元になければ、輸入は諦めて直接病院へ行きましょう。中用量ピルも専用ピルも、正しく使えば効果に差はありません。
 (※2)…病院によっては、合計5錠以上服用することを指示されたり、高用量ピル(中用量よりホルモン量の多いピル)を処方されることがあります。が、「ホルモン量が多いほどよく効く」というわけではありません。
 また服用方法や錠数しだいでは、かえって妊娠の危険が高まったり、身体への負担が大きすぎる可能性があります。「中用量ピル2錠×2回」からかけ離れた服用方法を指示された場合、自己判断で飲み方を変える必要が出てくるかもしれません。こういった面倒を避けるためにも、緊急避妊についてきちんとした知識と実績をもつ先生を選んでください。
 ピル服用によって、体内の黄体ホルモンが急上昇、のち急低下します。
 この作用で強制的に生理を起こし、受精卵を着床不可能にします。
 また、まだ排卵が起きていなかった場合は、それを遅らせる効果もあります。受精を妨げる効果もあるようです。

 冒頭にもありますが、基本的に性交後72時間がタイムリミットです。(72時間以内にまず2錠飲み、その12時間後に残りの2錠を飲みます)
 また、24時間以内の服用がもっとも効果的と言われます。早ければ早いほど、高い成功率が期待できます。
 120時間以内でも効果はあると言われるのですが、病院によっては72時間を過ぎると処方してもらえないようです。2日以内でないと駄目と言われた、という人もいました。
 他に、病院の方針などにより、72時間以内でも処方してもらえない場合があります。
 何件も問い合わせているうちにリミットが来てしまう危険がありますので、日ごろから「安心してかかれる婦人科」と「セカンドオピニオンとして頼れそうな婦人科」を見つけておきましょう。

 【注意点】

 ■中絶薬ではありませんので、既に妊娠している(受精卵が子宮内膜に着床を完了している)場合は効果がありません。

 ■服用するホルモン量が非常に多くなるため、激しい副作用が出る恐れがあります。
 ★飲んでから4時間程度で、成分は完全に吸収されています。服用後4時間以上過ぎていれば、嘔吐や下痢があっても大丈夫でしょう。
 ★吐き気対策として、「乗り物用の酔い止め薬をあわせて服用する」という方法があります。
 あまり効き目が無いことも多いようですが、副作用がどうしても心配でたまらない場合は一つの対策ではあると思います。(実際、ピルと一緒に酔い止めが処方されることもあるようです)

 副作用による不快症状は、人によって現れ方が大きく異なります。
 ごく軽いもので済む人も、何も感じない人もいます。

 ■通常の避妊法と同様、100%確実な方法ではありません。
 なお、緊急避妊に失敗して妊娠しても、赤ちゃんへの影響はないと言われています。(ただし、服用以前に既に妊娠していた場合はこの限りではありません)

 ■服用後、いつ生理が起きるかは予測できません。一般に、早ければ服用後数日、遅くて3週間くらいです。
 この生理(正確には通常の生理とは少し異なるもので、消退出血といいます。しかし、この出血をもって「生理」とします)は、通常よりやや軽いことがあります。

 ■服用後3週間経っても出血がない場合は、失敗かもしれません。至急医師に相談してください。
 また、作者がこれまでお聞きした体験談の中には、
 「1か月経っても出血せず、何度も検査したり、病院に相談したりした。妊娠はしなかったが、最終的に出血が起きたのは服用から35日めだった」
 「出血をみたものの妊娠した」
 といったケースもありました。
 出血の有無だけにこだわらず、「基礎体温をつける」「時期をみて妊娠検査をする」「不安なときはすぐ医師に相談する」などを徹底すべきだと思います。

 ■消退出血後の周期の数え方に悩むかたがいらっしゃるようです。
 通常、周期は生理開始日を1日めとして数えます。消退出血はそのまま生理とみなしますから、
 「消退出血の開始日」=「生理開始日」=「新しい周期の1日め」
 となります。緊急避妊をしたのが周期の何日めであったとしても、消退出血の開始をもってリセットです。

 ■緊急避妊後の排卵は、いつ起きるか全くわかりません。
 (つまり、消退出血後、その次の生理は、もともとの周期に関係なく、いつ来るかわかりません
 基礎体温をつけるなど、よく体の様子を見ておいたほうが良いと思います。特に避妊には充分ご注意ください。
 緊急避妊の処方を受ける際、今後の避妊について医師に相談してみるのも良い方法です。

 ■緊急避妊法は、通常避妊用に毎日飲むピルとは別の、特別な服用方法になります。緊急避妊のピル服用後にセックスがあった場合、それによる妊娠まで防げるものではありません

 ■事後緊急避妊法の利用は、1ヶ月に1回が限度です。それ以上の頻度で利用することはできません。
 体に非常に大きな負担をかける方法ですので、常用を考えてはいけません。あくまで「緊急」避妊法です。

 ■緊急避妊成功後に、通常の避妊用としてピルの服用を始めたい場合は、
 「基礎体温をつけながらしばらく体の様子をみて、自然な生理が再開したら服用を始める」
 のが個人的におすすめです。
 ★作者の緊急避妊体験談はこちら...
 ★緊急避妊を実行する前にやっておくべき、と思うことをまとめました。これから緊急避妊をしたいとお考えのかたへ。こちらです。


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